「免疫力」とは

 

ヒトには生まれつき、「ウイルスや細菌(=敵)を侵入させない」/「侵入した敵と戦う」という2段階の免疫の仕組みが備わっています。

 

▶第一段階 防御=「粘膜免疫」

日々の生活で、体内にはウイルスや細菌、花粉などの“ 異物” が絶えず侵入しようとします。しかし、これらの異物を“ 侵入” させないように守っているのが「粘膜免疫」です。

粘膜免疫が働く場所は、目、鼻、口、腸管などの粘膜です。ここで異物が粘膜を介して体内に入るのを防ぎ、体外に出してしまうことで感染を防ぎます。

 

 

 

▶第二段階 攻撃=「全身免疫」

 

さて、病原体が「粘膜免疫」を突破して体内に侵入し、増殖してしまった状態が「感染」です。

体に侵入したウイルスや細菌に対しては、第二段階の「全身免疫」が働きます。全身免疫のシステムでは、免疫細胞が病原体を捕えて、排除するよう働きます。
なお、体内では古い細胞が新しい細胞に入れ替わるために細胞分裂が起こっています。細胞分裂の際、異常な細胞が発生することがあります。
この異常な細胞が増殖した状態が「がん」です。このように体内で生まれたがん細胞のような“ 異物” を攻撃するのも、全身免疫の役割です。

 

 

 

免疫の仕組み

 

呼吸や食べ物を介して、体の中には細菌やウイルスなどの病原体、さらに花粉などの異物が侵入しようとする。

 

目、鼻、口、腸管などの粘膜は、病原体の最初の侵入口に。これらの異物から身を守るために、粘膜組織には外敵を排除する防御システムが備わっている。
中でも「腸」は、最も重要な免疫器官。

 

 

 

 

 

体内に病原体が侵入したら全身免疫の出番。免疫細胞が直ちに相手を捕えて攻撃する「自然免疫」と、相手の性質を正確に見極めて攻撃する「獲得免疫」の2段構えで守る。
熱が出るのは、熱に弱いウイルスを叩くため。
下痢は、敵を体外に早く排出するためで、これらも免疫反応の一種。

 

 

 

 

 

 

 

現代人の免疫力低下

 

現代人の生活では、免疫の仕組みが正しく働かない要因が増えているそうです。

 

 

 

日本人の平均睡眠時間は男女ともに減少傾向にあります。睡眠の乱れによって睡眠に関わるホルモン(メラトニン)が十分に分泌されないと、体に活性酸素が過剰に増加。

活性酸素が、がん細胞の増殖など悪い影響を引き起こすと考えられているのです。

ストレスも免疫力を低下させます。ネガティブな気分や過度なストレスによってうつ状態になると、病原体と戦う抗体の分泌が低くなるのです。

 

 

 

免疫力は、私たちが日々とる食事によっても支えられています。

免疫細胞や筋肉の材料となるのがタンパク質ですが、このタンパク質の摂取量は、1950年代と同じ水準まで減少。腸内環境を整えるために欠かせない食物繊維を含む野菜の摂取量も、昭和40年と比べて1人1年当たりで17.3kgも減少。中でも、働きざかりの20 歳代から40 歳代の不足が目立っています。

※厚生労働省平成26年国民健康・栄養調査報告